【確定申告シリーズ④】配偶者控除、配偶者特別控除

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質問:配偶者が働いているとき、いくらまでなら控除が使える?

  配偶者が働いているときに使える配偶者控除、収入がいくらまでなら使えますか?

答え:配偶者控除が使える上限は給与収入なら123万円までです。それを超えても使える、配偶者”特別”控除もあります。

  配偶者控除は、給与収入のみで123万円以下、配偶者特別控除の満額は160万円以下、
  約201万円を超えると、配偶者の控除はとれなくなります。 

 そもそも「配偶者控除」ってなに?

 簡単に言うと、「パートナーを養っている人は、税金を安くしてあげよう」という制度です。
 大きく分けて2種類あります。

  • 配偶者控除:配偶者の収入が少ない場合に受けられる。
  • 配偶者特別控除:配偶者の収入が少し増えても、段階的に税金を安くしてくれる制度。

 では、詳しく解説していきます。

【令和7年分から】配偶者控除、新・年収の壁

 ▶控除を受けられる所得の上限

      項目  合計所得金額
配偶者控除の所得制限58万円以下
配偶者特別控除の所得制限 58万円超、133万円以下 

 

 ▶給与のみの場合の年収の上限

      項目  給与収入のみ場合
配偶者控除の壁給与収入 123万円 以下
配偶者特別控除(満額)の壁 給与収入 160万円 以下 
控除が完全になくなる壁給与収入 約201万円超

納税者本人の所得による区分

本人の合計所得金額 給与年収の目安 一般の配偶者控除 老人控除対象配偶者 
900万円以下1,095万円以下38万円 (満額)48万円 (満額)
950万円以下1,145万円以下26万円32万円
1,000万円以下1,195万円以下13万円16万円
1,000万円超1,195万円超なし (0円)なし (0円)

「うちは対象?」判定フローチャート

  1. あなたの合計所得金額は1,000万円(給与のみなら年収1,195万円)以下ですか?
    NO → 残念ながら、配偶者系の控除は一切受けられません
    YES → ステップ2へ
  2. 法律上の結婚をしていますか?(内縁関係はNG)
    NO → 対象外です
    YES → ステップ3へ
  3. 生計を一つにしていますか?(同居や仕送りがあるなど)
    NO → 対象外です
    YES → ステップ4へ
  4. 配偶者が「事業専従者」として給与をもらっていませんか?
    NO → 対象外です
    YES(もらっていない) → ステップ5へ
  5. 配偶者の合計所得金額はいくらですか?(令和7年1月〜12月の合計)
    58万円以下(給与なら年収123万円以下)
     → 「配偶者控除」が受けられます。最大38万円(70歳以上なら48万円)の控除です。

    58万円超〜133万円以下(給与なら年収約201万円以下)
     → 「配偶者特別控除」が受けられます。年収160万円までは最大38万円、それを超えると段階的に減っていき、約201万円でゼロになります。

    133万円超(給与なら年収約201万円超)
     → 控除なし。

給与以外の収入(副業など)がある場合の所得の計算

 パートをしながら副業(不動産収入やライター業など)をしているケースです。

 例:給与収入90万円 + 不動産所得10万円の場合
   給与所得の計算:90万円 - 65万円 = 25万円。
   合計所得の計算:給与所得25万円 + 不動産所得10万円 = 合計所得金額35万円
    ➡判定:合計所得が58万円以下のため、「配偶者控除」の対象です。

年収160万円を超えたあとの配偶者特別控除の「減り方」

 配偶者の年収が160万円の壁を超えると、控除額は「いきなりゼロ」になるのではなく、配偶者の所得が増えるにつれて38万円から3万円まで、段階的に(計9段階で)減っていきます
 納税者本人(養っている側)の所得が900万円(年収約1,095万円)以下の場合、控除額は以下のように変化します

配偶者の年収(給与のみ) 配偶者の所得金額 受けられる控除額 
160万円以下95万円以下38万円(満額)
165万円以下100万円以下36万円
170万円以下105万円以下31万円
175万円以下110万円以下26万円
180万円以下115万円以下21万円
185万円以下120万円以下16万円
190万円以下125万円以下11万円
約197万円以下130万円以下6万円
約201万円以下133万円以下3万円
約201万円超133万円超0円(対象外)

納税者本人の所得が900万円を超えると、上記の控除額自体がさらに少なくなります

老人控除対象配偶者

 配偶者が70歳以上の場合に受けられる控除は、正確には「老人控除対象配偶者」としての配偶者控除を指します。通常の配偶者控除(38万円)よりも、控除額がプラス10万円(最大48万円)上乗せされるのが大きな特徴です。

▶年齢要件:その年の12月31日現在の年齢が70歳以上であること
      ※2026年申告(令和7年分)であれば、昭和31年1月1日以前に生まれた方が対象です。

▶【注意】納税者本人(あなた)の所得制限
 老人控除を受けるには、納税者本人の合計所得金額が1,000万円(給与年収で約1,195万円)以下でなければなりません。所得金額に応じて、受けられる控除額は以下の表のように段階的に変わります。

▶老人控除対象配偶者の控除額

納税者本人の合計所得金額老人控除対象配偶者の控除額 (参考)一般の配偶者の場合 
900万円以下48万円38万円
900万円超 〜 950万円以下32万円26万円
950万円超 〜 1,000万円以下 16万円13万円

※所得が1,000万円を超えると、配偶者が70歳以上であっても控除額は0円になります,。

間違えやすいポイント:配偶者「特別」控除には老人枠がない
 配偶者の年収が123万円(所得58万円)を超えてしまい、「配偶者特別控除」を受ける場合は、配偶者が何歳であっても控除額の上乗せ(老人枠)はありません,。つまり、配偶者の年収が123万円を超えた瞬間に、最大48万円だった控除枠は、年齢に関係なく最大38万円(所得95万円=年収160万円まで)の枠へと切り替わります。

公的年金を受け取っているケース
 年金は「雑所得」のため、給与と年金の両方がある場合、両方を合計して所得の計算をします。
 計算式はシンプル、「年金の合計額 - 年金の控除額(お得分)」 です。

 【A】65歳以上の方(昭和36年1月1日以前生まれ)

  • 年金が「110万円」ちょうどまでの人 → 所得は 「0円」 です。
  • 年金が「120万円」の人 → 120万 - 110万 = 所得 「10万円」
  • 年金が「150万円」の人 → 150万 - 110万 = 所得 「40万円」
  • 年金が「168万円」の人 → 168万 - 110万 = 所得 「58万円」
     →ここが配偶者控除のデッドライン! これを1円でも超えると「特別控除」へ移行します

 【B】65歳未満の方(昭和36年1月2日以降生まれ)
  現役世代に近い扱いのため、控除額が少しシビアになります。

  • 年金が「60万円」ちょうどまでの人 → 所得は 「0円」 です。
  • 年金が「100万円」の人 → 100万 - 60万 = 所得 「40万円」
  • 年金が「118万円」の人 → 118万 - 60万 = 所得 「58万円」
     →65歳未満の場合、年金が約118万円を超えると「特別控除」へ移行します。

 【年金の所得金額の判定のコツ】

  • 「額面」で計算すること!
    介護保険料や税金が引かれたあとの「振込額」ではなく、引かれる前の「総額(額面)」で計算する。
  • 「遺族年金・障害年金」は完全に無視!
    これらはいくらもらっていても所得計算には1円も入れなくてOK
    例えば「老齢年金100万+遺族年金100万」の人なら、所得は100万 - 110万 = 0円となります。
  • 「70歳の壁」も忘れずに!
    上記で計算した所得が58万円以下で、かつ配偶者が70歳以上なら、納税者本人の控除額が38万円から48万円にランクアップします。

配偶者控除「イレギュラー」な条件

  • 事実婚(内縁)」はどうなる?
    →民法の規定による配偶者ではないため、対象外です。
  • 配偶者が海外に住んでいる場合
    →「親族関係書類」と「送金関係書類」が必須です。仕送りをして家族を支えている証明が必要です。
  • 年の中途で配偶者が亡くなった場合
    亡くなった時点での現況で判定します。月割計算はせず、条件を満たしていれば満額の控除が受けられます。
  • 再婚した場合
    →再婚して新しい配偶者も控除対象になる場合、二重には受けられず、どちらか一人だけを選びます。
  • 個人事業主を支えている場合
    →「専従者」として給与をもらっている配偶者は、この控除の対象外です。ダブルでは使えません。

これって所得に入るの?

 「年収」を計算するときに間違えやすいポイントをまとめました。

  • カウントしなくていいもの(非課税)
    • 失業保険(求職者給付)
    • 出産育児一時金・出産手当金
    • 育児休業給付金
       →これらはいくらもらっても、合計所得には含めません。
  • カウントしなければならないもの
    • 不動産収入、株の譲渡益(確定申告した場合)、副業の所得など。

配偶者控除チェックするポイント

  • 「本当に生計を一にしているか?」
    別居していても生活費を送っていればOKです。
  • 他の誰かの扶養に入っていないか?
    例えば配偶者の子が、自分の親を「扶養控除」に入れていないか。二重控除にならないように注意。
  • 配偶者に給与以外の所得はないか?」
    パート代以外にメルカリの利益や株の配当、副業収入がないか。これらを合計して「合計所得」を判定するため要確認です。
  • 「非課税所得を間違えて算入していないか?」
    育休手当などを含めて計算し、損をしていないかチェックしましょう。
  • 夫婦間のルール
    配偶者特別控除は「夫婦のどちらか一方」しか使えません。お互いに受けることは不可です。
  • 海外在住の場合
    送金記録とパスポートのコピーが必要です。
  • 「控除額」と「安くなる税金」は別物
    38万円の控除といっても、38万円がそのまま返ってくるわけではありません
    あなたの税率を掛けた分(数万円〜十数万円)が安くなる仕組みです 。

まとめ

 「収入が少し超えちゃったかな?」と思っても、すぐにあきらめないでください。
 配偶者特別控除は、年収約201万円まで「なだらかに」減っていく仕組みです。
 お給料の 「源泉徴収票」だけでなく、配偶者が副業をしていたり、複数の年金をもらっていたりする場合は、その「すべての収入の資料」を用意して計算をしましょう。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が、手軽なシミュレーターになります。

 
 

※本記事は2026年1月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の事情に応じた法的助言を行うものではありません。万が一、記事の内容をもとに行動された結果として損害などが生じた場合でも、筆者としては責任を負いかねますこと、あらかじめご了承ください。

 

質問コーナーつきましては、「わかりやすさ」を第一に考え、次のことを心がけております。

専門用語をなるべく使わない
 ➡正しいけれど意味のわかりにくい言葉(税法用語など)を使わず、簡単な表現に言い換えてお伝  
  えします。そのため、専門家による専門家のための実務書とは表現が違うこともままあります
  
“超”がつくほど例外的なパターンまではあえて言及しない
 ➡あらゆるパターンを網羅してお答えしようとすると、回答が膨大な量になる恐れがあります。
  情報の多さに「で、結局答えは??」とゴールが見えなくなってしまわぬよう、まずは基本的なこと
  をシンプルにお伝えします

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