【確定申告シリーズ⑨】基礎控除等の改正について

確定申告 基礎控除 給与所得控除 扶養控除 配偶者控除 年収の壁 質問BOX

質問:基礎控除が増えたと聞きました。気を付けるポイントは?

  基礎控除の改正がありましたが、確定申告で気を付けることを教えてください。
  私は国税庁の計算ページを使うので、自動計算だとは思いますが……

答え:2年間限定で、大幅アップの基礎控除。扶養控除にも関係します。

  2025年度は「所得税の基礎控除」や「給与所得控除」など、手取り額に直結する部分が
  大きく変わる年となりました。所得控除の要件の変更が多くあります。


 今回の改正を一言で言うと、「みんなが使えるおトクな枠(控除)」が増えたということです。
 私たちが無条件で引いてもらえる「基礎控除」と、会社員が経費として引ける「給与所得控除」の両方がパワーアップしました。それでは、解説していきます。

基礎控除(みんなが使える割引)

 これまでは一律48万円だった基礎控除が、最大95万円まで引き上げられました
 ただし、お給料などの「所得」が多い人ほど、この割引額は段階的に減っていく仕組みです。

令和7年・8年分の基礎控除額

  合計所得金額(年収の目安)新しい基礎控除額昨年との差
 132万円以下(年収約200万円以下)  95万円+47万円
 132万超〜336万円(年収約475万円以下)  88万円+40万円
 336万超〜489万円(年収約665万円以下)  68万円+20万円
 489万超〜655万円(年収約850万円以下)  63万円+15万円
 655万超〜2,350万円(年収約2,545万円以下)  58万円+10万円
 2,350万超~2,400万円(年収約2,595万円以下)   48万円改正なし
 2,400万超~2,450万円(年収約2,645万円以下)  32万円改正なし
 2,450万超~2,500万円(年収約2,695万円以下)  16万円改正なし
 2,500万円超(年収約2,695万円超)   なし改正なし

 ※年収目安は給与のみの場合。

給与所得控除(会社員の「みなし経費」)

 会社員やパートの方が、給与から差し引ける最低額が、55万円から65万円にアップしました,。

 ★ここをチェック~「160万円の壁」の誕生~
  基礎控除95万円 + 給与所得控除65万円 = 合計160万円

 ☞つまり、2025年からは年収160万円まで所得税がかからなくなります
  これまでの「103万円の壁」から大幅に広がりました。

大学生の親御さんに朗報「特定親族特別控除」の誕生

 これまではお子さんの年収が「103万円」を1円でも超えると、親御さんの税金が増える「扶養の壁」がありました。これを救済するために新設されたのが「特定親族特別控除」です。

 • 対象:19歳以上23歳未満の親族(学生でなくてもOK)
 • 仕組み:お子さんの年収約188万円(所得123万円)までは、親御さんは段階的に控除を受けられます。

所得要件の「10万円底上げ」

 「扶養控除」や「配偶者控除」を受けられる家族の所得基準も、一律で10万円引き上げられました。

 • 扶養控除・配偶者控除:所得48万円以下 → 58万円以下(年収約123万円までOK)
 • 勤労学生控除:所得75万円以下 → 85万円以下(年収約150万円までOK)

  ご家族が少し多めに働いても扶養に残れるようになります。

  ☞配偶者控除、配偶者特別控除についてくわしくはこちら

  ☞勤労学生控除についてくわしくはこちら

確定申告書作成でここを必ずチェック!

 確定申告、手計算の人もネット作成の人も、以下のポイントは見逃さないでください。

確定申告書作成コーナー(スマホ・PC)で作る人

 • 自動計算に任せすぎない
  所得を入力すれば基礎控除額は自動判定されますが、「特定親族特別控除」は新しい項目です。
  お子さんの所得を正しく入力しないと適用されないので、入力漏れや間違いがないか確認しましょう。

 • 副業がある人
  副業と本業を合わせた「合計所得金額」で基礎控除額が決まります。
  副業の所得が多いと基礎控除額が減る場合があります

 ☞ポイント
  去年の控えを見ながら入力すると、控除額が変わっていて「間違いかな?」と不安になりますが、
  それが正解です。

【手計算・書面で提出する人】

 • 計算表は「令和7年分」か
  改正前の計算式を使うと、せっかくの減税分が反映できなくなってしまいます。
  新しい手引きを使って計算をしましょう

 • 様式の変更に注意
  特定親族特別控除の創設に伴い、申告書の様式も変わります。
  古い予備の用紙は使わず、新しいものを取り寄せましょう

前年までとの違い/期間限定のことなど

 • 2年限定(令和7・8年分のみ)
  基礎控除の大きな加算は、物価高対策としての2年間のみの時限的な措置です。

 • 令和9年以降
  所得に関わらず基礎控除は原則58万円以下(一定所得以下は95万円のままの予定)へと整理されます。  
  つまり、今の「超手厚い割引」は2年間限定のボーナスタイムです。

 • 住民税は別
  今回の基礎控除アップは所得税の話。住民税の基礎控除はMAX43万円のまま据え置きです。
  所得税は0円でも住民税の通知が届くことがあります。

まとめ

  1. 「103万円」ではなく「160万円」までは自分の所得税を気にしなくてOK
  2. 大学生の子供がバイトしすぎても、いきなり扶養控除がゼロにはならない。
  3. 基礎控除は「人によって金額が違う」時代へ。自分の所得の控除額を確認すること。

 2025年分の確定申告は、まずは新しい基礎控除の表で自分の所得をチェックしてみてください。

 
 

※本記事は2026年2月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の事情に応じた法的助言を行うものではありません。万が一、記事の内容をもとに行動された結果として損害などが生じた場合でも、筆者としては責任を負いかねますこと、あらかじめご了承ください。

 

質問コーナーつきましては、「わかりやすさ」を第一に考え、次のことを心がけております。

専門用語をなるべく使わない
 ➡正しいけれど意味のわかりにくい言葉(税法用語など)を使わず、簡単な表現に言い換えてお伝  
  えします。そのため、専門家による専門家のための実務書とは表現が違うこともままあります
  
“超”がつくほど例外的なパターンまではあえて言及しない
 ➡あらゆるパターンを網羅してお答えしようとすると、回答が膨大な量になる恐れがあります。
  情報の多さに「で、結局答えは??」とゴールが見えなくなってしまわぬよう、まずは基本的なこと
  をシンプルにお伝えします

タイトルとURLをコピーしました