質問:扶養控除に出てくる「生計を一にする」の範囲や条件を教えて!
別居をしている家族への仕送りはいくらなら認められる?
施設に入所している家族は? ”生計を一にする” に含まれる範囲を教えてください。
答え:「生計を一にする」とは「同じお財布で生活している」状態です
確定申告で必ず出てくる「生計を一にする」という言葉。
一言で言うと「同じお財布で生活をしている」状態です。
「生計を一にする」親族を扶養控除などの対象とすることで、数十万円単位で税金が変わります。
✓ 扶養控除:最大63万円(特定扶養親族)
✓ 医療費控除:家族分を合算
では、解説をしていきます。
「生計を一にする」って結局どういうこと?
「同じ屋根の下で、寝食を共にする」
というイメージが強いですが、税法上の定義はもう少し広いです。
たとえ住んでいる場所が違っても、生活費の出どころが同じであれば
「生計を一にしている」とみなされます。
簡単に言うと、「同じお財布で生活している」状態です。
| ✓ 生計を一にする • 家計簿が1つ • 生活費の出どころが共通 | ✗別生計 • 家計簿が別 • 各自が自分の収入で生活 |
判定の基本ルール
- 同居している場合
明らかに互いに独立して生活している(二世帯住宅で完全に財布も別など)場合を除き、基本的には「生計を一にしている」と扱われます。 - 別居している場合
「常に生活費、学資金、療養費などの送金が行われている」ことが原則ですが、加えて「休日には実家で寝食を共にする」など、実質的に家計が一体となっている実態があれば認められます。
お金の流れが最重要です。
➡チェックポイント
✓ 定期的な送金があるか(1年分まとめて払うというのは✕)
「必要なときに、その都度、生活費として使う分」を渡すこと!
まとめてどかっと送金すると、贈与では?と疑われてしまう可能性があります。
✓ 金額が生活費として妥当か
✓ 送金の証拠があるか
【生計を一】判定フローチャート
「うちはどうなの?」と迷ったら、以下のステップで進んでみてください。
- 同じ家に住んでいる?
はい → 「生計を一」(※完全にお財布が別でない限り)
いいえ → ステップ2へ
- 仕送り(生活費・学費・医療費)を常に送っている?
はい → 「生計を一」
いいえ → ステップ3へ
- 休みの日はいつも一緒に過ごし、寝食を共にしている?
はい → 「生計を一」と認められる可能性あり(送金の有無が重視されます)(例:週末婚、週末帰省など)いいえ → 「生計は別」(残念ながら控除は受けられません)
具体例で見る「こんな場合は?」
① 大学生の一人暮らし
親が家賃や生活費を毎月仕送りしていれば「生計を一」に該当します。
ただし、子が自分の稼ぎだけで完全に自立している場合は対象外となるので注意です。
② 地方の両親への仕送り
親に年金収入や預貯金があっても、足りない生活費(光熱費や医療費など)を子が定期的に仕送りをして支えている実態があれば、「生計を一」と認められます。
☞アドバイス:遺族年金などの非課税所得は、扶養の判定基準となる「合計所得金額」には含まれません。
お母様が遺族年金をもらっていても、それ以外に大きな所得がなければ扶養に入れられる
可能性が高いです。
③ 単身赴任のお父さん
勤務の都合で離れて暮らしているだけなので、「生計を一」に該当します。
④ 老人ホームに入所した親
施設の費用を子が負担していれば「生計を一」の関係は続きます。
ただし、「同居」ではなくなるため、控除額の区分が変わる点には注意が必要です。
Q&A
Q.仕送り額の目安は?
A.法律上の明確な基準はありません。
あくまで一例ですが、生活費として月3~10万円程度の送金があるケースは、実務上『生計を一』と認められやすい傾向があります。税務署は「いくら送れば認められますか?」という質問には明確な答えをくれませんが、重要なのは金額よりも、「送金が相手の生活を支えているか?」という実態が重視されます。たとえば、月1万円のお小遣い程度では「生計を別にしている(自立している)」とみなされるリスクがあります。
反対に、多すぎてもその分は『贈与』とみなされる可能性がありますのでご注意ください。生活に必要なお金(学費・医療費・日常生活費)として常識的な金額を超える場合や、渡したお金がを貯蓄や投資に回した場合などです。
Q.住民票は関係ある?
A.住民票は判断の参考にはなりますが、決定的な要素ではありません。あくまで実態で判断されます。
Q.共働き夫婦、 子はどちらの扶養?
A.どちらか 1人だけが扶養として申告。
Q.兄弟で仕送りを分担している場合は?
A.全員が「生計を一にする」に該当しますが、扶養控除を受けられるのは1人だけです。
誰が申告するかは兄弟で協議してください。
Q.年の途中で状況が変わった場合は?
A.12月31日の現況で判断します。
ただし、本人が年の途中で亡くなった場合は、その時点の現況で判断します。
☞アドバイス:6月に夫が亡くなり、その後息子と同居した妻の場合。
夫の死亡時の年末調整で「配偶者控除」を受け、かつ、年末の息子の年末調整で
「扶養控除」を受けるという「ダブル控除」が認められるケースがあります。
Q. 再婚した相手の連れ子は?
A. 「一親等の姻族」に該当するため、あなたと生計を一にしていれば扶養控除の対象になります 。
Q. 海外に住む親族は?
A. 非常に要件が厳しくなっています。
「親族関係書類(戸籍謄本の附票やパスポートの写しなど)」と「送金関係書類」が必須です。
さらに30歳以上70歳未満の場合は、留学している、障害者である、38万円以上の送金がある、
このいずれかに該当するといった追加条件があります。
Q.離婚協議中に、別居だが婚姻費用送金している。
A. 離婚まで扶養にできます。
Q.事実婚・内縁関係の場合は?
A.事実婚・内縁関係のパートナーは、税法上の「配偶者」に該当しません。
したがって、生計を一にしていても配偶者控除・扶養控除の対象外です。
Q.親に財産がある場合でも同居で暮らしていたらOK?
A.親に数千万円の預金があっても、それを取り崩さずあなたの仕送りで生活しているなら、生計を一にすると認められます。
☞アドバイス:財産の「有無」ではなく、生活費の「出どころ」で判断されます
Q.税務署に「証拠を示してください」と言われたら?
A.「生計を一」であることを証明するために必須なのは「銀行振込の記録」です。
NG: 手渡し(証拠が残りません)
OK: 通帳に「振込 〇〇(扶養相手の名前)」と残るようにする
まとめ:確定申告前の最終チェックリスト
✓ 対象者が親族に該当するか確認
✓ 同居の場合:明らかに独立していないか確認
✓ 別居の場合:定期的な送金記録を確認
✓ 銀行振込の記録を保管
✓ 海外居住親族:必要書類を準備
✓ 複数人で扶養:誰が申告するか決定
✓ 対象者の所得要件を確認
「生計を一にする」を正しく理解して、医療費控除や扶養控除を活用して、適切に節税しましょう。
※本記事は2026年2月時点の法令・制度に基づいて執筆しています。内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の事情に応じた法的助言を行うものではありません。万が一、記事の内容をもとに行動された結果として損害などが生じた場合でも、筆者としては責任を負いかねますこと、あらかじめご了承ください。
